夏の静かな夜、エアコンから聞こえる不快なモスキート音に悩まされていませんか。それは「キーン」という甲高い異音かもしれません。この現象は、ダイキンのエアコンやシャープのエアコン、あるいはビーバーエアコンといった特定のメーカーに限らず発生する可能性があります。家のエアコンだけでなく、車のエアコンから聞こえる異音「キーン」が気になる方もいるでしょう。特に、エアコンの室外機からモスキート音や「キーン」という音が聞こえたり、室内機からピー音がしたりする場合、その原因は一体何なのでしょうか。また、お住まいが賃貸物件であれば、勝手に修理して良いものか迷うことと思います。この記事では、不快なエアコンのモスキート音について、その考えられる原因から、ご自身でできる確認方法、エアコンクリーニング業者への依頼を含めた専門的な対処法まで、網羅的に解説していきます。
この記事のポイント
- エアコンから発生する不快な高周波音の正体
- 室内機と室外機、それぞれの異音の原因
- メーカー別の特徴と家庭でできる対処法
- 専門業者に相談すべきケースと選び方のポイント
エアコンのモスキート音?考えられる原因と特定法
- エアコンの異音「キーン」は故障のサイン?
- エアコン室外機からモスキート音がする原因
- エアコン室外機からキーンと聞こえる場合
- エアコンからピー音が聞こえる時の確認点
- 車のエアコンから異音「キーン」がする原因
- 車のエアコンモスキート音も構造は同じ?
エアコンの異音「キーン」は故障のサイン?
エアコンの電源を入れたときや運転中に聞こえる「キーン」という甲高い金属音。これは、一般的にモスキート音とも呼ばれる高周波音です。この音が聞こえると、多くの方が「故障かもしれない」と不安に感じるでしょう。
結論から言うと、この「キーン」という音は、必ずしも故障のサインとは限りません。しかし、明らかに異常を示す危険なサインである可能性も十分に考えられます。
音が鳴る主な原因として、エアコン内部にある「コンプレッサー(圧縮機)」や「コンデンサー(凝縮器)」といった部品の動作が関係しています。これらは冷媒ガスを圧縮・冷却するための重要な部品で、特にインバーター制御のエアコンでは、動作時に高周波音が発生しやすい傾向があります。製品の仕様による正常な動作音であるケースもありますが、以下の場合は注意が必要です。
注意すべき「キーン」音の兆候
・購入当初より音が明らかに大きくなった
・音が断続的に鳴り、耳障りに感じる
・「キーン」という音以外に、「ガタガタ」などの異音も混じる
これらの症状が見られる場合、部品の経年劣化や潤滑油の不足、内部の汚れによる負荷増大などが考えられます。放置すると、性能の低下や消費電力の増加、最終的には高額な修理が必要な故障につながる恐れがあるため、早めの点検が推奨されます。
エアコン室外機からモスキート音がする原因
不快なモスキート音がエアコンの室外機から聞こえてくる場合、原因は室外機内部の部品にある可能性が高いです。室外機は、室内機で集めた熱を外に逃がすための重要な役割を担っており、常に過酷な環境で稼働しています。
室外機からモスキート音が発生する主な原因は以下の通りです。
ファンモーターの不具合
室外機のファンを回転させるモーターに問題が生じると、「キュルキュル」「キーン」といった甲高い音が発生することがあります。原因としては、潤滑油の不足や、経年劣化によるベアリングの摩耗などが考えられます。
コンプレッサーの異常
前述の通り、コンプレッサーは動作時に高周波音を発生させやすい部品です。特に、内部の部品が劣化したり、ガス圧に異常が生じたりすると、通常よりも大きなモスキート音となって聞こえることがあります。この場合、放置するとエアコンが全く冷えなくなる・暖まらなくなるといった致命的な故障につながります。
近隣トラブルにも注意
室外機の異音は、ご自身の不快感だけでなく、近隣住民との騒音トラブルに発展するケースもあります。特に、住宅が密集している場所や、夜間にエアコンを使用する機会が多い場合は、音が気になった時点で早めに対処することが大切です。
エアコン室外機からキーンと聞こえる場合
「モスキート音」と表現される音と、「キーン」と聞こえる音は、ほぼ同義で使われることが多い高周波音です。室外機から明らかに「キーン」という金属質で耳障りな音が聞こえる場合、より深刻な不具合を示唆している可能性があります。
考えられる原因は、ファンモーターやコンプレッサーの物理的な故障に加え、室外機の基板に搭載されている電子部品の不具合も挙げられます。
室外機には、インバーター回路と呼ばれる、モーターの回転数を細かく制御するための重要な基板が内蔵されています。この回路上のコイルやコンデンサといった電子部品が劣化すると、「コイル鳴き」と呼ばれる高周波音を発生させることがあります。これは部品が振動して発する音で、故障の前兆であることも少なくありません。
「キーン」という音が聞こえたら、まずはご自身で室外機の周りに物を置いていないか、異物が挟まっていないかを確認してみてください。それで改善しない場合は、内部の専門的な部品に問題がある可能性が高いため、無理に自分で分解しようとせず、速やかに専門業者に点検を依頼しましょう。
エアコンからピー音が聞こえる時の確認点
「キーン」という音とは別に、エアコンから「ピー」あるいは「ピッピッ」といった電子音が聞こえることがあります。この音は、高周波の異音とは性質が異なり、多くの場合、エアコンが何らかの異常を検知し、エラーを知らせるための警告音です。
「ピー」という音が聞こえたら、慌てずに以下の点を確認してください。
- リモコンの表示を確認する
エラーが発生している場合、リモコンの液晶画面に「A1」や「U4」といったエラーコードが表示されることがあります。このコードをメモし、取扱説明書やメーカーの公式サイトで内容を調べることで、具体的な異常箇所を特定できます。 - 室内機のランプの点滅を確認する
リモコンに表示がなくても、室内機のタイマーランプなどが点滅してエラーを知らせている場合があります。点滅のパターンによって異常内容が異なるため、こちらも取扱説明書で確認が必要です。 - ドレンホースの詰まりを確認する
意外な原因として、エアコン内部で発生した結露水を排出するドレンホースの詰まりがあります。水が正常に排出されず内部に溜まると、水漏れを検知する安全装置が作動し、「ピー」という音で警告することがあります。
これらの確認を行っても原因が分からない、あるいはエラーコードが示す内容がご自身で対処できないものである場合は、メーカーのサポートセンターや修理業者に連絡してください。
車のエアコンから異音「キーン」がする原因
不快な「キーン」音は、家庭用エアコンだけでなく、車のカーエアコンでも発生することがあります。走行中にエアコンをつけた途端に甲高い音が聞こえ始めると、運転に集中できず非常に危険です。
車のエアコンから「キーン」という異音が発生する場合、家庭用エアコンとは少し異なる原因が考えられます。主な原因を以下の表にまとめました。
異音の種類 | 考えられる主な原因 | 解説 |
---|---|---|
キーン | ブロアファンモーターの劣化・油切れ | 車内に風を送り出すファンのモーターです。ベアリングの劣化や潤滑油が切れることで高周波音が発生します。 |
ウィーン | エアコンプレッサーの焼き付き | 冷媒ガスを圧縮するコンプレッサー内部が摩耗し、焼き付きを起こしている可能性があります。重度の故障です。 |
キュルキュル | ファンベルトやテンショナーの劣化 | エンジンルーム内にあるベルトがスリップしたり、張りを調整する部品が摩耗したりすると発生します。 |
シャー | マグネットクラッチの劣化 | コンプレッサーの動力をON/OFFする電磁クラッチのベアリングが摩耗すると、金属が擦れるような音が出ます。 |
いずれの原因であっても、車のエアコンの異音は安全な走行に関わる重要なサインです。音が聞こえたら放置せず、できるだけ早くディーラーや整備工場で点検を受けてください。
車のエアコンモスキート音も構造は同じ?
「車のエアコンから聞こえるモスキート音も、家庭用エアコンと同じような仕組みで発生するの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論としては、基本的な構造や役割が似ている部品で発生するという点で共通しています。家庭用エアコンもカーエアコンも、「冷媒を圧縮し(コンプレッサー)、熱を交換し、風を送る(ファン)」という基本原理は同じです。
このため、
- コンプレッサーの劣化や不具合
- ファンモーターのベアリング摩耗や油切れ
といった、回転・圧縮を行う部品が異音の発生源となりやすい点は共通しています。ただし、カーエアコンはエンジンの動力を使ってコンプレッサーを動かす(ファンベルト経由)など、駆動方式に違いがあります。また、常に振動や温度変化に晒されるため、家庭用エアコンとは異なる原因で不具合が発生することも多いのが特徴です。
つまり、音の発生源となる部品の役割は似ていますが、原因の特定や修理方法は全く異なります。車の異音は必ず自動車整備の専門家に相談しましょう。
エアコンのモスキート音に関するメーカー別の傾向と対処法
- ダイキンのエアコンからモスキート音がする場合
- シャープのエアコンからモスキート音がする時
- ビーバーエアコンのキーン音の口コミと評判
- 賃貸物件でエアコンからモスキート音がしたら
- エアコンクリーニング業者への依頼で解消も
- エアコンのモスキート音は放置せず相談を
ダイキンのエアコンからモスキート音がする場合
空調専門メーカーとして高い人気を誇るダイキンのエアコン。その高性能さから多くの方に選ばれていますが、「モスキート音が気になる」という声が聞かれることもあります。
ダイキン製のエアコンで「キーン」という高周波音が発生する場合、多くは室外機に内蔵されている「インバーター基板」が原因である可能性が指摘されています。インバーターは、コンプレッサーのモーター回転数をきめ細かく制御して省エネ運転を実現する心臓部ですが、その過程で「コイル鳴き」と呼ばれる高周波音を発生させることがあります。
これは故障ではなく、製品の仕様の範囲内であることがほとんどです。しかし、経年劣化や個体差によって音が大きくなり、耳障りに感じられるようになる場合があります。音が特に大きい、あるいは以前より明らかにうるさくなったと感じる場合は、メーカーの点検を依頼することを検討しましょう。保証期間内であれば、部品交換などで改善されるケースもあります。
シャープのエアコンからモスキート音がする時
独自技術「プラズマクラスター」で知られるシャープのエアコンでも、「キーン」という高周波音に関する報告が見られます。シャープ製品の場合、考えられる原因は複数あります。
- インバーター基板からの高周波音
これはダイキンと同様、インバーター制御を行う家電製品に共通する現象です。特に静かな環境では、コンプレッサーが動作する際の音が気になることがあります。 - プラズマクラスターユニットの動作音
プラズマクラスターイオンを発生させるユニットから、「ジー」という微細な放電音が聞こえることがあります。これを「キーン」という高周波音と捉える方もいるようです。これは正常な動作音であり、故障ではありません。 - コンプレッサー自体の不具合
過去の口コミでは、冷蔵庫など他の製品でコンプレッサーや制御基板を交換したところ高周波音が改善したという事例もあり、エアコンでも同様に部品の不具合が原因である可能性は否定できません。
まずは、プラズマクラスター機能を停止してみて音が変化するかを確認するのも一つの手です。それでも音が鳴りやまない、かつ音が大きい場合は、メーカーサポートに相談してみましょう。
ビーバーエアコンのキーン音の口コミと評判
三菱重工が製造する「ビーバーエアコン」は、そのパワフルな冷暖房能力で根強い人気があります。ビーバーエアコンで「キーン」という音がする場合も、他のメーカーと同様の原因が考えられます。
特に、考えられる原因は以下の通りです。
- コンプレッサーやファンモーターの経年劣化
- インバーター制御に伴う高周波音(コイル鳴き)
- 室内機の送風ファンやフィルターの汚れによる負荷増大
ビーバーエアコンに特有の原因というよりは、エアコンという製品全般に共通する原因であることがほとんどです。もし異音が気になる場合は、まずはフィルターの清掃など、ご自身でできるメンテナンスを試してみてください。それでも改善しない場合は、購入した販売店やメーカーの修理相談窓口に問い合わせるのが確実です。その際、「いつから」「どのような状況で」「どんな音がするか」を具体的に伝えることで、スムーズな対応が期待できます。
賃貸物件でエアコンからモスキート音がしたら
お住まいが賃貸マンションやアパートの場合、設置されているエアコンからモスキート音が聞こえてきたら、対処に注意が必要です。
結論として、ご自身で勝手に修理業者を手配したり、修理を依頼したりしてはいけません。賃貸物件に備え付けのエアコンは、大家さんや管理会社の所有物(設備)だからです。
勝手な修理のリスク
・修理費用が自己負担になる可能性がある
・物件指定の業者以外での修理を禁じられている場合がある
・修理によって状態が悪化した場合、損害賠償を請求される恐れがある
エアコンの異音に気づいたら、必ず以下の手順で対応してください。
- まずは大家さん・管理会社に連絡
「いつから、どのような音がするか」を具体的に報告し、指示を仰ぎます。 - 契約書を確認する
賃貸借契約書の「設備」に関する項目を確認しましょう。通常、経年劣化による設備の故障は、貸主(大家さん)の負担で修理されることが定められています。
大家さんや管理会社が業者を手配し、修理や交換を行ってくれるのが一般的です。まずは焦らず、管理元に相談することが最も重要です。
エアコンクリーニング業者への依頼で解消も
エアコンの異音の原因が、部品の故障ではなく、内部に蓄積したホコリやカビなどの汚れであるケースも少なくありません。
室内機の熱交換器や送風ファンに汚れがびっしり付着すると、ファンの回転バランスが崩れたり、モーターに過剰な負荷がかかったりして、「キーン」や「キュルキュル」といった異音を発生させることがあります。ご自身でフィルター掃除をしても音が解消しない場合は、内部の汚れが原因かもしれません。
このようなケースでは、専門のエアコンクリーニング業者に内部洗浄を依頼することで、異音が劇的に改善される可能性があります。
エアコンクリーニングのメリット
・異音の解消(汚れが原因の場合)
・冷暖房効率の向上と電気代の節約
・カビやアレルギー物質の除去による空気質の改善
・エアコン本体の寿命を延ばす効果
修理を依頼する前に、一度クリーニングを検討してみるのも有効な選択肢です。ただし、明らかに部品の破損が疑われるような「ガタガタ」「ガラガラ」といった音がする場合は、クリーニングではなく修理業者に相談しましょう。
エアコンのモスキート音は放置せず相談を
この記事では、エアコンから聞こえる「キーン」というモスキート音について、様々な角度から解説してきました。最後に、重要なポイントをリストでまとめます。
- エアコンのキーン音は高周波のモスキート音
- 原因はコンプレッサーやファンモーターの可能性
- インバーター制御によるコイル鳴きの場合もある
- 音が大きくなったり変化したりしたら注意信号
- 室外機からの音は近隣トラブルの原因にも
- ピー音はエラーを知らせる警告音のことが多い
- 車のエアコン異音は整備工場へ相談
- 家庭用と車用では原因や対処法が異なる
- ダイキンやシャープなどメーカー問わず発生しうる
- 賃貸物件の場合はまず大家さんや管理会社に連絡
- 自分で勝手に修理業者を呼ばないこと
- 内部の汚れが原因で異音が発生することも
- フィルター掃除で改善しない場合はクリーニングも有効
- 異音を放置すると本格的な故障や消費電力の増大に繋がる
- まずは取扱説明書やメーカーサイトで情報を確認する
エアコンから聞こえる異音は、快適な生活を妨げるだけでなく、エアコンからの重要なメッセージです。この記事を参考に、原因を冷静に見極め、適切な対処を行ってください。