SwitchBotを導入し、スマートホーム化を進めようとした際、多くの方が直面するのが「エアコン操作」の壁です。特に冬場、「暖房をつけたいのに、なぜか冷房 に なる」という問題は、非常によくあるトラブルの一つです。この記事では、この「SwitchBotにエアコンの暖房ボタンがない(冷房しか出ない)問題の解決策」について、根本的な原因から詳しく解説します。多くの場合、問題の根源は「リモコン登録『スマートラーニング』の手順」に潜んでおり、この自動学習機能の特性を知らないままでは、問題を解決できません。また、もし「『その他』で登録された時の対処法」がわからず困っている場合も、本記事で具体的な手順を紹介します。さらに、「冷房が反応しない(効かない)時の原因と直し方」や、「温度変更できない時のトラブルシューティング」といった、操作全般の不具合にも対応します。「勝手にエアコンがつく(冷房になる)現象の原因」を探っている方や、「除湿(ドライ)や送風モードの追加方法」を知りたい方にも、必ず役立つ情報を提供します。「『自動』モードと『冷房』モードの違いと使い分け」を正しく理解し、「シーン機能で『暑くなったら冷房』を自動化する方法」や、「ハブ2の温度センサーでエアコン冷房を賢く操作」する応用テクニックも紹介します。最後に、日々の操作を格段に楽にする「AlexaやGoogle Homeでエアコンの冷房をつける音声コマンド集」もまとめました。この記事を読めば、SwitchBotでのエアコン操作を完全にマスターし、快適なスマートライフを実現できるはずです。
この記事のポイント
- SwitchBotで暖房が使えず冷房になる根本的な原因と仕組みがわかる
- 最も確実な解決策であるリモコンの「ボタン学習」の具体的な手順がわかる
- 温度変更や風向き設定ができない時の詳細なトラブルシューティングがわかる
- 音声操作や温湿度センサーを使った高度な自動化でエアコンを快適に使うコツがわかる
SwitchBotでエアコンが冷房になる主な原因
- 暖房ボタンがない(冷房しか出ない)問題の解決策
- リモコン登録「スマートラーニング」の手順と落とし穴
- 勝手にエアコンがつく(冷房になる)現象の原因
- エアコンが「その他」で登録された時の対処法
- エアコンの「自動」モードと「冷房」モードの違いと使い分け
暖房ボタンがない(冷房しか出ない)問題の解決策
結論から言うと、この問題の最大の原因は「スマートラーニング(自動学習)」でエアコンを登録していることにあります。このモードは手軽な反面、エアコンリモコン特有の複雑な信号を完全には網羅できないのです。
多くのエアコンのリモコンは、一見「電源」ボタンや「温度」ボタンが独立しているように見えても、内部的にはボタンが押されるたびに「現在の運転モード・設定温度・風量・風向き」といった全ての情報を一つのパッケージ(赤外線信号)として送信する仕組みを採用しています。これは、エアコン本体からリモコン側に「今、冷房25度で動いています」という情報(状態)が返ってこない(=双方向通信ではない)ため、リモコン側で保持している設定情報を毎回すべて送り直す必要があるからです。
スマートラーニングで「電源オン」の信号だけを登録した場合、SwitchBot側はデータベースに基づいた汎用的な信号、つまり多くの機種で共通している「冷房・25度・自動風量」といったデフォルトの信号を「オン」操作として送信してしまうことが多いのです。そのため、ユーザーが冬に暖房を使いたいと思って操作しても、エアコンは冷房として起動してしまいます。
解決策:「ボタン学習(カスタマイズ)」への切り替え
この問題を根本的に解決し、暖房や除湿などを自由に使えるようにするには、リモコンの各ボタンの機能を個別に登録する「ボタン学習(カスタマイズ)」モードを使用する必要があります。このモードでは、「暖房(22度)オン」の信号、「冷房(26度)オン」の信号、「除湿オン」の信号、そして「温度上げ」「温度下げ」「風向き変更」といった個別のボタン操作を、一つひとつSwitchBotアプリに手動で学習させます。初期設定に少し手間はかかりますが、これが最も確実で、推奨される解決方法です。
リモコン登録「スマートラーニング」の手順と落とし穴
「スマートラーニング(自動学習)」は、SwitchBotアプリでリモコンを追加する際に最初に推奨される、最も簡単な登録方法です。多くのユーザーがこの手軽さから最初に選択します。
手順としては、アプリの「リモコンを追加」から「エアコン」を選び、「スマートラーニング」をタップします。その後、SwitchBotハブ(ハブミニやハブ2など)に向けてエアコンのリモコンのいずれかのボタン(通常は電源ボタン)を押すだけです。すると、SwitchBotがその赤外線信号をスキャンし、膨大なクラウド上のデータベースから類似のリモコン(テンプレート)を自動で探し出し、操作パネルの候補を提案してくれます。
この手軽さが、実は最大の落とし穴です。
前述の通り、エアコンのリモコンはメーカーや機種、年式によって送信する信号が非常に複雑で多岐にわたります。自動で適用されたテンプレートが、お使いのエアコンの信号と完全には一致しないケースが多発します。
特に、「電源オン」と「電源オフ」が同じボタンを共有しているタイプのリモコンでは、SwitchBot側が「オン」操作のデフォルトとして「冷房」モードを割り当ててしまう傾向が顕著です。結果として、アプリ上では暖房を選んでいるつもりでも、実際に送信される赤外線信号は「冷房オン」になってしまい、「暖房が使えない」という問題が発生するのです。
スマートラーニングが推奨されないケース
以下のような症状が出た場合、スマートラーニングでの登録が失敗している可能性が非常に高いです。
- アプリ上に「暖房」や「除湿」のボタンが表示されない。
- 「暖房」ボタンをタップしても、エアコンが反応しないか、冷房が起動する。
- 電源のオン・オフはできるが、温度変更や風向き変更が機能しない。
この場合は、一度登録済みのリモコンをアプリから削除し、後述する「ボタン学習」での再登録を強く推奨します。
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勝手にエアコンがつく(冷房になる)現象の原因
SwitchBotに操作を指示していないのに、勝手にエアコンがつき、しかもそれが意図しない冷房運転である場合、ユーザーの操作ミスではなく、設定された「自動化」が原因である可能性がほぼ100%です。
主な原因は、「シーン」機能(現在のアプリでは「オートメーション」機能)の誤設定、または他のSwitchBotデバイス(温湿度計など)との連携設定によるものです。
原因1:シーン(オートメーション)の誤設定・消し忘れ
過去に特定の時間にエアコンを起動する自動化(シーン)を作成し、その設定が「冷房」のままになっているケースです。特に、「夏場、朝7時に涼しく起きられるように冷房をオンにする」といった自動化を作成し、冬になってもそのオートメーションをオフにし忘れていることがよくあります。自分では忘れていても、設定は生き続けているため、意図せず動作してしまいます。
原因2:温湿度計との連携による誤作動
SwitchBot温湿度計や、温湿度センサーを内蔵したハブ2・ハブ3と連携し、「室温が28度を超えたらオン」のような自動化を設定している場合、その実行内容(アクション)が「冷房オン」に設定されていると、思わぬタイミングで動作することがあります。例えば、冬場であっても、日当たりの良い部屋で直射日光がセンサーに当たり、一時的に室温が設定値(例:28度)を超えた場合、トリガーが作動して意図せず冷房が起動してしまいます。
原因3:シーン作成時の状態保存(クチコミ事例より)
過去のユーザー報告(家電レビューサイトや掲示板など)では、ユニークな事例も報告されています。例えば、「(家中のエアコンを全部消す)」というシーンを作成した際、そのシーンを保存する直前のエアコンの状態が「冷房」だったため、その状態がSwitchBot側に記憶されてしまい、次にオンにした際に冷房で起動してしまった、というものです。これはアプリの仕様に関連する可能性があり、意図しないデフォルト設定が保存されてしまうケースです。
対処法:オートメーション設定の徹底的な見直し
SwitchBotアプリの画面下部にある「オートメーション」タブを開き、設定済みの自動化ルールをすべて確認してください。「有効」になっているオートメーションを一つずつタップし、「条件(いつ)」と「アクション(何をするか)」の内容を詳細にチェックします。不要なオートメーションは迷わず削除し、必要なもの(例:温湿度計連動)は、アクション内容(冷房か暖房か、設定温度など)が現在の季節や意図に合っているかを丁寧に見直しましょう。
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エアコンが「その他」で登録された時の対処法
スマートラーニングや手動学習(メーカー検索)を試しても、お使いのエアコンのリモコンがデータベースに見つからない場合や、登録はできても正常に動作しない場合、最終手段として「その他」モードで登録する方法があります。
「その他」モードは、エアコン専用の操作画面(温度やモードを選ぶインターフェース)ではなく、テレビや扇風機のリモコンのように、汎用的なリモコンとしてボタンを自由に作成・学習させるモードです。このモードで登録すること自体は問題ありませんが、エアコン専用UIではないため使い勝手が変わります。
対処法としては、「その他」で登録した場合、リモコンのボタンを一つひとつ手動で追加していく地道な作業が必要になります。
例えば、「暖房22度」「冷房25度」「除湿」「電源オフ」といったボタンをアプリ上で個別に作成し、それぞれのリモコン操作(エアコンのリモコン側で実際にその状態にしてからボタンを押し、その信号を)ハブに学習させます。
注意点として、前述の通りエアコンのリモコンは操作時点の全情報(モード+温度+風量)を送るため、「暖房」ボタンと「温度UP」ボタンを別々に学習させても、うまく連携動作しない(温度UPを押すと学習させた時点のモード、例えば冷房モードに戻るなど)ことがあります。そのため、「暖房22度」「暖房23度」のように、設定値ごとのボタンを作るのが最も確実な運用方法となります。
「その他」登録のデメリット:音声操作の制限
「その他」で登録したリモコンは、SwitchBotアプリ上では問題なく動作しますが、AlexaやGoogle Homeなどのスマートスピーカーによる音声操作に大きな制限がかかります。「エアコンをつけて」「暖房にして」といった標準的な音声コマンドが認識されなくなります。この場合、後述するSwitchBotアプリの「シーン」機能(例:「暖房オン」というシーンを作成する)を経由し、スピーカーに「シーン名」を呼び出させる形で音声操作を実現する必要があります。
エアコンの登録でどうしてもうまくいかない時、まずは「その他」で登録し、最低限の「暖房オン(よく使う温度)」「冷房オン(よく使う温度)」「オフ」の3つだけでも学習させてみてください。それだけで、ひとまずはスマートリモコンとして機能しますし、問題の切り分けにも役立ちますよ。
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エアコンの「自動」モードと「冷房」モードの違いと使い分け
SwitchBotアプリ上に表示される「自動」モードと「冷房」モードは、基本的にお使いのエアコンのリモコンに搭載されている機能の違いを反映したものです。これらのモードの特性を理解することで、より快適な室温管理が可能になります。
- 「冷房」モード:ユーザーが設定した目標温度になるまで冷風を出し続ける、最も基本的で強力なモードです。室温が設定温度に達すると、コンプレッサーを停止(または弱運転)し、送風運転に切り替わったり、運転を停止したりして温度を維持します。真夏の暑い日など、明確に室温を下げたい場合に使用します。
- 「自動」モード:エアコン本体に内蔵されたセンサーが現在の室温や湿度(機種による)を感知し、設定された目標温度を維持するために「冷房」「暖房」「除湿(ドライ)」「送風」といった運転モードをエアコン自身が最適と判断して自動的に切り替えるモードです。
おすすめの使い分け
「自動」モードは、春や秋など、日中と朝晩の寒暖差が大きく、冷房と暖房のどちらを使うか迷うような季節に設定しておくと非常に便利です。SwitchBotで一度「自動」モードと設定温度(例:25度)を登録しておけば、日中に暑くなれば自動で冷房、朝晩に冷え込めば自動で暖房に切り替えてくれます(※ご使用のエアコンの機種がその機能に対応している必要があります)。
一方で、真夏や真冬は、「自動」モードだと意図せず暖房や冷房が切り替わったり、期待したほど強力に冷えなかったり(または暖まらなかったり)することがあります。そのため、真夏は「冷房」、真冬は「暖房」にモードを固定して使う方が確実と言えます。
登録時の注意点
この「自動」モードも、スマートラーニング(自動学習)で登録した場合、正しく認識されないことがあります。「自動」を選んでも実際には「冷房」で動作してしまう、といった症状です。この場合も、やはり「ボタン学習」で「自動」モードのボタン操作(リモコン側で「自動」を選んだ状態)を個別に学習させることで解決できます。
SwitchBotでエアコンが冷房になる時の対処法
- エアコンの冷房暖房の切り替え設定方法
- 冷房が反応しない(効かない)時の原因と直し方
- 温度変更できない時のトラブルシューティング
- シーン機能で「暑くなったら冷房」を自動化する方法
- SwitchBotのハブ2の温度センサーでエアコン冷房を賢く操作
- AlexaやGoogle Homeでエアコンの冷房をつける音声コマンド集
- SwitchBotでエアコンが冷房になる問題の解決法を総括
エアコンの冷房暖房の切り替え設定方法
SwitchBotで冷房と暖房を確実に切り替え、暖房を使いたいのに冷房が起動する問題を根本から解決するためには、「ボタン学習(カスタマイズ)」モードで、各運転モードを個別に登録することが最も推奨される設定方法です。
スマートラーニング(自動学習)では暖房信号が正しく登録されないことが多いため、多少手間がかかっても、手動で「暖房」操作を正確に覚えさせる必要があります。この作業を行うことで、アプリや音声操作が期待通りに機能するようになります。
ボタン学習(カスタマイズ)による設定手順
- SwitchBotアプリを開き、もし自動学習で登録済みのエアコンがある場合は、設定画面からそのリモコンを一度削除します。(既存の設定がトラブルの原因になるため、一度リセットします)
- ホーム画面右上の「+」から「リモコンを追加」を選び、家電の種類で「エアコン」を選択します。
- 学習モードの選択画面で、「スマートラーニング」や「手動学習(メーカー検索)」ではなく、一番下にある「カスタマイズ(ボタン学習)」を選びます。
- アプリの指示に従い、まず「電源オフ」のボタンを学習させます。エアコンのリモコンをハブに向け、オフボタンを押して信号を登録します。
- 次に「電源オン」のボタンを学習させます。この時、リモコン側を「よく使う設定(例:冷房 25度 自動風量)」にしてから、オンボタンの信号を学習させると、アプリの「オン」ボタンのデフォルト動作として設定されます。
- 登録が完了すると、シンプルな操作画面(オン・オフのみ)が表示されるので、編集画面からボタンを「追加」していきます。
- 例えば、「暖房オン」という名前のボタンをアプリで作成します。次に、手元のリモコン側を「暖房・22度・自動風量」などに実際に設定し、その状態でもう一度「電源オン」ボタン(またはモード切替ボタン)を押して、その赤外線信号をハブに学習させます。
- 同様に、「除湿」「送風」など、必要なモードと温度設定の組み合わせを、リモコン側で実際に設定変更しながら一つひとつ学習させていきます。
「暖房」専用ボタンを作るのが最も確実
この方法は少し面倒に感じるかもしれませんが、「暖房・20度」「暖房・22度」「暖房・24度」といったように、よく使う温度設定ごとにボタンを作成して学習させるのが最も確実です。これにより、「暖房をつけて」という操作が常に期待通りに動作するようになり、音声操作(シーン経由)でもピンポイントで呼び出せるようになります。
冷房が反応しない(効かない)時の原因と直し方
SwitchBotアプリで冷房ボタンをタップしてもエアコンが反応しない(効かない)場合、つまり赤外線信号が飛んでいる音(またはハブのランプが点滅)はするのにエアコンがウンともスンとも言わない場合、物理的な障害か、設定ミスのどちらかが疑われます。
原因1:物理的な障害(赤外線が届かない)
SwitchBotハブとエアコン本体の間に、家具、棚、観葉植物などの障害物があり、赤外線が遮られている可能性があります。赤外線は光の一種(不可視光線)であり、障害物を通り抜けることはできません。また、ハブの設置距離がエアコンから遠すぎたり、ハブの向きがエアコンの受光部とズレていたりすると、信号が弱まって届かないケースも考えられます。
対処法: ハブを、エアコン本体の赤外線受光部(通常は本体正面にあります)が遮蔽物なしで直接見える位置に移動させてください。エアコンの真正面、または信号を反射できる壁際などに設置するのが理想です。
原因2:登録データのエラー(信号が違う)
スマートラーニング(自動学習)で登録したリモコンのテンプレートが、お使いのエアコンの信号と微妙に異なっている場合、特定の操作(例えば、オン・オフはできるが冷房は効かない、など)だけが反応しないことがあります。データベース上の類似モデルの信号が割り当てられているため、完全には一致していないのです。
対処法: 登録済みのリモコンを一度削除し、再度スマートラーニングを試してみてください。スマートラーニング時に複数のテンプレート候補が提示された場合は、一つずつ「テスト」機能を使って、冷房や暖房、温度変更が正しく機能するかを確認し、最も動作が安定しているものを選んで保存します。それでも改善しない場合は、「メーカー検索(手動学習)」で同じメーカーの別の型番のテンプレートを試すか、最終手段である「ボタン学習」に切り替えてください。
原因3:エアコン本体の一時的な不具合
SwitchBot側の問題ではなく、エアコン本体のマイコン(制御コンピュータ)が一時的にフリーズしている、またはエラーを検知して操作を受け付けなくなっている可能性も稀にあります。
対処法: エアコン本体の電源プラグをコンセントから抜き、数分間(最低でも1分以上)待ってから再度差し込んでみてください。エアコン本体が完全に再起動(リセット)されることで、リモコンの反応が戻る場合があります。
温度変更できない時のトラブルシューティング
アプリで温度の「+」「ー」ボタンを押してもエアコンが反応しない、または温度は変わるが冷房モードに戻ってしまう、といった場合も、主な原因はリモコンの登録方法(スマートラーニング)と、エアコンリモコンの信号方式のミスマッチにあります。
この理由は、エアコンのリモコンが「温度だけを1度上げる」という単純な信号を送っているわけではないためです。多くのリモコンは、温度「+」ボタンが押されるたびに、「現在のモード(例:暖房)+新しい設定温度(例:23度)+現在の風量など」の全情報をセットにして再送信しています。
スマートラーニングで登録されたテンプレートが、この複雑な温度変更の信号方式に正しく対応できていない(例えば、「温度+」ボタンに「冷房モードでの温度+」信号が割り当てられている)ことが考えられます。
対処法1: 「ボタン学習」の活用
最も確実な解決策は、前述した「ボタン学習(カスタマイズ)」モードでリモコンを登録し直し、その際に「温度上げる」ボタンと「温度下げる」ボタンを個別に学習させることです。この時、リモコン側を「暖房」モードにした状態で「温度上げ」を学習させ、別途「冷房」モードにした状態で「温度上げ」を学習させるなど、モードごとに学習させるとより確実性が増します。
対処法2: 「その他」モードでの温度ごとボタン作成
「ボタン学習」でもうまくいかない(温度ボタンがうまく機能しない)場合は、登録モードの「その他」を使ってリモコンを登録し直します。この方法では、「冷房22度」「冷房23度」「冷房24度」…「暖房20度」「暖房21度」といったように、使用する可能性のある温度設定ごとのボタンを個別に作成し、それぞれのリモコン操作(その温度に設定してオンにする信号)を学習させます。この方法はアプリのボタン数が多くなりますが、温度変更をアプリから確実に実行できます。
「温度変更」ボタン学習時の注意点
「ボタン学習」で温度上げ・下げボタンを学習させる際は、リモコンをハブに向け、ボタンを「短く1回」押して学習させてください。長押しすると信号が変わる機種(連続で温度が変わる機能など)があり、それが原因で正しく認識されないことがあります。
シーン機能で「暑くなったら冷房」を自動化する方法
SwitchBotの「シーン」機能(現在のアプリでは「オートメーション」機能)は、SwitchBot製品の真価を発揮する機能です。これと、SwitchBot温湿度計(またはハブ2・ハブ3の内蔵センサー)を組み合わせることで、「室温が〇度になったら冷房をオンにする」といった、エアコンのインテリジェントな自動化が可能になります。
「オートメーション」は、「トリガー(条件)」と「アクション(実行内容)」を組み合わせて設定する機能です。温湿度計が計測する温度や湿度をトリガー(条件)に設定することができます。
「室温28℃で冷房オン」の設定手順例
- SwitchBotアプリのホーム画面下部にある「オートメーション」タブを選択します。
- 画面右上の「+」ボタンをタップし、新しいオートメーションを作成します。
- 「条件(トリガー)を追加」をタップします。
- トリガーとして「SwitchBot温湿度計」(またはハブ2など)を選択し、「温度」を選びます。
- 条件を「指定した温度より高い」「28℃」と設定し、保存します。(これで「室温が28℃を超えたら」という条件が完成)
- 次に「アクション(実行内容)を追加」をタップします。
- アクションとして登録済みの「エアコン」を選択し、実行したい操作(例:冷房、26度、風量自動)を設定して保存します。
- 最後にオートメーション全体を保存して完了です
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自動化の活用例:ペットや家族の見守り
この設定により、外出中や就寝中に部屋が暑くなっても自動で冷房が起動し、快適な室温を保てます。特に、ペット(犬や猫など)やお年寄り、小さなお子様を家で留守番させているご家庭にとって、夏の室温上昇による熱中症対策として非常に有効な機能です。閉め切った室内は想像以上に高温になるため、こうした自動化は命を守るセーフティネットにもなります。(参照:環境省熱中症予防情報サイト)
【重要】暖房器具への使用に関する厳格な注意
SwitchBotは公式サイトにて、温度や湿度をトリガーとしたオートメーション操作について、暖房器具(特に電気ヒーターや石油ファンヒーター、こたつなど、発熱する機器全般)への使用を推奨していません。これは、万が一の誤作動、通信エラー、またはセンサーの異常が発生した際に、機器がオンのままになり過熱、火災などの重大な事故につながる危険性を考慮してのことです。冷房への使用は問題ありませんが、暖房の自動化(特にヒーター類)は安全上の理由から絶対に避けるようにしてください。(参照:SwitchBotサポート - 【注意喚起】SwitchBot製品の暖房器具への使用について)
SwitchBotのハブ2の温度センサーでエアコン冷房を賢く操作
SwitchBotのハブ2は、従来型のベストセラーモデルであるハブミニとは異なり、本体に高精度の温湿度センサーを内蔵しています。これを活用することで、別途「SwitchBot温湿度計」を購入しなくても、エアコンの温度連動自動操作が可能です。
ハブ2は、スマートリモコン機能と温湿度計機能が一体化しているため、設置スペースも節約でき、設定もよりシームレス(ハブ2の温度をトリガーにするだけ)に行えます。
具体的な設定方法は、前項「シーン機能で『暑くなったら冷房』を自動化する方法」で説明した手順のトリガー(条件)として、SwitchBot温湿度計の代わりに「SwitchBot ハブ2」の「温度」を選択するだけです。
また、ハブ2本体のディスプレイには現在の室温と湿度が常時表示されるため、アプリを開かなくても部屋の状態をすぐに確認でき、自動化が正しく機能しているかの確認も容易になります。
ハブ2の「リモコン同期」機能とMatter対応
ハブ2は、一部の主要メーカー製エアコン(ダイキン、パナソニック、三菱電機など)において、手元の物理リモコンで操作した内容(例:手動で温度を25度にした)を検知し、アプリ側の状態表示(オン/オフや設定温度)に自動で反映させる「同期」機能に対応しています。これにより、「アプリではオフ表示なのに、実際はエアコンがオンになっている」といったスマートリモコン最大の弱点であった「状態のズレ」を防ぎやすくなり、より高度な管理が可能になります。(※全ての機種で対応しているわけではありません) さらに、ハブ2はスマートホームの共通規格「Matter」にも対応しており、将来的に他社製品との連携がよりスムーズになる可能性も秘めています。(詳細はSwitchBot ハブ2 公式サイトをご確認ください)
これからSwitchBotハブを導入してエアコン操作を自動化したいと考えているなら、温湿度センサーが内蔵され、エアコンの状態同期も期待できるハブ2や、最上位モデルのハブ3を選ぶと、追加デバイスなしで設定が完結するため、とてもスムーズでおすすめですよ。
AlexaやGoogle Homeでエアコンの冷房をつける音声コマンド集
SwitchBotハブに登録したエアコンは、Amazon Alexa(アレクサ)やGoogle Home(OK Google)といったスマートスピーカーと連携させることで、非常に便利な音声操作が可能になります。「手が離せない」「リモコンが遠い」といったストレスから解放されます。
連携は、SwitchBotアプリの設定メニュー内にある「クラウドサービス」から、使用したいスマートスピーカー(Amazon Alexaなど)のアカウントをリンクさせるだけで完了します。これにより、スピーカーがSwitchBotのクラウドサーバーを経由し、自宅のハブを介してエアコンに赤外線信号を送れるようになります。
エアコンが「スマートラーニング」や「メーカー検索」で正しく(エアコンとして)登録されている場合、以下のような標準コマンドが使用できます。
| 操作したい内容 | Amazon Alexa コマンド例 | Google Home コマンド例 |
|---|---|---|
| 電源オン | 「アレクサ、エアコンをつけて」 | 「OK Google、エアコンをつけて」 |
| 電源オフ | 「アレクサ、エアコンを消して」 | 「OK Google、エアコンを消して」 |
| 冷房モードに変更 | 「アレクサ、エアコンを冷房にして」 「アレクサ、エアコンを冷房モードにして」 | 「OK Google、エアコンを冷房にして」 「OK Google、エアコンを冷房に設定」 |
| 暖房モードに変更 | 「アレクサ、エアコンを暖房にして」 「アレクサ、エアコンを暖房モードにして」 | 「OK Google、エアコンを暖房にして」 「OK Google、エアコンを暖房に設定」 |
| 温度設定(指定) | 「アレクサ、エアコンを25度にして」 「アレクサ、エアコンの温度を25度に設定」 | 「OK Google、エアコンを25度にして」 「OK Google、エアコンの温度を25度に設定」 |
| 温度の上げ下げ(相対) | 「アレクサ、エアコンの温度を上げて/下げて」 「アレクサ、エアコンの温度を2度上げて」 | 「OK Google、エアコンの温度を上げて/下げて」 「OK Google、エアコンを2度上げて」 (※Google Homeは「上げて/下げて」だけの操作に対応していない場合があります。「〇度にして」と温度を指定するのが確実です) |
| 状態の確認 | 「アレクサ、エアコンの設定温度は?」 「アレクサ、エアコンのモードは何?」 | 「OK Google、エアコンはどうなってる?」 「OK Google、エアコンの設定温度を教えて」 |
「ボタン学習」や「その他」で登録した場合の最重要注意点
本記事で「暖房が出ない」問題の解決策として推奨している「ボタン学習」や、最終手段の「その他」モードでリモコンを登録した場合、上記のような標準コマンド(「冷房にして」「25度にして」など)が正しく動作しない可能性が非常に高いです。これは、スピーカー側がそのデバイスを「エアコン」としてではなく、「汎用スイッチの集まり」のように認識するためです。
この場合の回避策として、SwitchBotアプリの「シーン(オートメーション)」機能を使います。例えば、「暖房22度」という名前のシーンを作成し(アクションにボタン学習で登録した「暖房22度」ボタンの操作を登録)、スマートスピーカーに「アレクサ、『暖房22度』をつけて(または実行して)」と、シーン名をそのまま呼び出す形で指示する必要があります。このひと手間を覚えることで、「ボタン学習」の確実性と音声操作の利便性を両立できます。
SwitchBotでエアコンが冷房になる問題の解決法を総括
最後に、SwitchBotで暖房を使いたいのに冷房が起動してしまう問題の解決法と、関連する設定のポイントを、この記事の総まとめとしてリストアップします。
- SwitchBotで暖房が使えず冷房になる最大の原因は「スマートラーニング(自動学習)」にある
- スマートラーニングはエアコンの複雑な信号(モード+温度)を正しく認識できないことがある
- 自動学習の「オン」信号は、デフォルトの「冷房」として登録されがち
- 最も確実な解決策は、リモコンを一度削除し「ボタン学習(カスタマイズ)」で再登録すること
- 「ボタン学習」では「暖房オン(22度)」のように、モードと温度をセットにしたボタンを個別に学習させる
- 「温度上げ」「温度下げ」のボタンも個別に学習させると、温度変更が確実になる
- 勝手に冷房がつく原因は「オートメーション(シーン)」の誤設定や消し忘れの可能性が高い
- 温湿度計と連携し「室温が〇度以上でオン」のアクションが「冷房」になっていないか確認する
- メーカー検索でも見つからないリモコンは「その他」モードで登録する
- ただし「その他」モードはAlexaやGoogle Homeの標準的な音声操作(「暖房にして」など)に対応しにくい
- 「自動」モードはエアコンが冷暖房を自動で切り替える機能だが、これもスマートラーニングでは誤認識しやすい
- 冷房が反応しない原因は、ハブとエアコンの間の障害物や距離の問題も考えられる
- ハブ2やハブ3は温湿度センサーを内蔵しており、別途センサー不要でエアコンの自動化が可能
- 暖房器具(特にヒーター類)のオートメーションによる自動オン設定は、火災防止のため公式に非推奨とされている
- 「ボタン学習」で登録したエアコンを音声操作する場合は、「シーン」機能を経由し、シーン名を呼び出すのが確実






